ねこちゃんの治療
デリケートなねこちゃんに無理をさせないよう、
飼い主さまと相談しながらそのコに合わせた診療を行っています。
ねこちゃんの飼い主さまへ
春にご来院される場合について
動物病院は、春先にわんちゃんの来院がとても多くなります。春はわんちゃんが法律で定められている狂犬病の予防接種を受ける時期なのです。だいたい4月から6月初めくらいまでですので、もしもこの時期にわんちゃんが苦手なねこちゃんをお連れになる場合には、ご来院前にお電話をいただけたらスムーズに診てさしあげられるよう調整をいたします。また、飼い主さまご自身がわんちゃんを苦手に思われているケースもあると思います。春に限らず、もしご不安がある場合にはお気軽にご相談ください。
ケージに入れてお連れ下さい
普段は大人しいねこちゃんでも、なれない場所や知らない動物の匂いのする動物病院ではパニックになることがあります。抱っこでご来院いただくと、そうした万が一の際に思わぬ力で抜け出し脱走してしまうこともあり得ます。
ねこちゃんは見知らぬ場所で迷うと家に帰れなくなるケースがとても多く、事故に遭う可能性もあります。そのため、ねこちゃんは必ずケージかキャリーケースに入れてお連れください。
キャリーをお気に入りの場所に
ねこちゃんは自分が知っている匂いに囲まれていると安心します。そこで、ご自宅のねこちゃんお気に入りの場所にキャリーを置いておき、いつでも入れるようにしておくとキャリーに自分の匂いがつくため、キャリー嫌いになりません。
また、ねこちゃんを連れてくるのには洗濯ネットに入れるという方法もおすすめできます。ファスナーをしめれば脱走する危険性もありません。
また、ねこちゃんがもし暴れても破れることはほとんどありませんし、柔らかいのでケガをしにくいのです。普段からご自宅のねこちゃんお気に入りの場所に洗濯ネットを敷いておいてあげると、ねこちゃんの匂いがつくので、中に入ればリラックスできます。
また、ねこちゃんは身体を包まれると安心する習性があるので、そうした意味でもネットに入ることは落ち着けることなのです。
ねこちゃんのお悩みについて
ケガ ねこちゃんの性格や個性に合わせた治療
ねこちゃんには触られるのも無理というコもいます。どうしても治療が必要な場合には、飼い主さまと相談した上で、軽めの麻酔をかけるなどストレスのかからない治療を行うこともあります。
皮膚のトラブル
症状
- かゆがっている
- いつも同じところを噛んだり、掻いたりしている
- 皮膚が赤くなっている
- 皮膚にプツプツがある
- 毛が抜ける
ねこちゃんのこんな症状は、ほとんどが皮膚疾患によるものです。原因は、アレルギー、感染症、ストレスなどが考えられますので、まずはかゆみなどのつらい症状を緩和させながら原因を検査で探って、その結果に合わせてお薬や原因の除去などの治療を行います。
スキンシップの際に皮膚の状態をしっかりチェックして、早期にトラブルをみつけてあげましょう。
また、長毛種だけでなく、短毛種のねこちゃんにとっても皮膚を清潔に保つためにブラッシングは重要です。春の換毛期はこまめにブラッシングして抜け毛を減らしてあげると、ねこちゃんが日頃の手入れで飲み込んでしまう毛の量が減りますので、おなかに毛玉がたまりにくくなるというメリットもあります。
アレルギー
最近、ねこちゃんの間でもアレルギーによる皮膚疾患が徐々に増加しています。特定の食物に反応する食物アレルギー、ノミに対するノミアレルギー、なんらかのアレルゲン(原因物質)によるアトピー性皮膚炎といったアレルギーがあります。アレルギーを起こす原因を検査で調べ、それに関する対策を飼い主さまと相談し、あわせて投薬で症状をコントロールしていきます。
感染症
細菌やノミ・マダニなどに感染して起こる膿皮症や疥癬などの感染症は、かゆみが激しいのが特徴です。人間にうつることもありますし、病気を媒介する可能性もありますので注意が必要です。感染症の場合も検査して原因を突き止め、投薬で症状を改善させていきます。
ストレス
ねこちゃんの中には、ストレスによって身体をなめたり掻いたりすることで皮膚疾患のような症状が現れることがあります。この場合もストレスをなくすか軽減することで症状の緩和を図りますが、ストレスは検査によってわかるものではないので、見極めは難しいものです。
そのため、検査でアレルギーや感染症ではないとわかったらストレスを疑うようにしています。ねこちゃんがなめたり掻いたりといった行為をしなくなるよう、飼い主さまとじっくり相談して、症状を緩和させていきます。
消化器系の病気
症状
- ここ数日、食欲がない
- 下痢が続いている
- 食べたものを吐いてしまう
まったく食べない状態が2~3日続いた、あるいは通常に比べて食欲が落ちているという状態が1週間続く場合、下痢は数日続いたら、嘔吐は何度か続くようでしたら要注意です。すぐにご相談ください。
嘔吐はねこちゃんに多い症状ですが、もし未消化のフードでしたら続かない限りそれほど心配はありません。また、毛玉が混じっている場合は、こまめにブラッシングしてあげることで嘔吐が収まるケースもあります。ただし、何度も続く場合にはすぐにお連れ下さい。
食欲不振や下痢、嘔吐は消化器疾病やウイルス感染の可能性が高いのですが、その他のさまざまな病気の症状でもあります。そのため原因と治療法を見極めることがとても重要になってきます。消化器以外の内臓疾患、寄生虫、また食べ馴れないものを食べたことで起こる場合もあります。そこで、飼い主さまにしっかりお話をうかがって、ていねいに触診し、必要に応じて血液検査や駆虫などの対策を行います。
症状が緩和しない場合には、肝臓、腎臓など多臓器にわたる重病の可能性も視野に入れ、あらためて精密検査を実施します。
早期発見して治療をすれば、どんな病気でもつらい症状を出さずに治せる可能性が高くなります。普段から摂取する水分量やフードの量をチェックしておいて、ちょっとした不調に早く気付いてあげましょう。
オシッコのトラブル
症状
- オシッコの量が少ない
- トイレに何度も通う
- オシッコポースを取るがほとんど出ていない
- オシッコの匂いが強くなった
- オシッコの色が濃くなった
オスのねこちゃんがかかりやすい病気に、膀胱炎や結石、腎臓病があります。特に冬場に症状が現れることが多い病気です。オシッコが完全に出なくなると尿毒症となって、命にかかわります。こうした病気は早期に見つけてあげたら、その病気に配慮したフードに変更するだけでつらい症状を出さずに治すことも可能です。オシッコがでにくい、量が少ないなどに気付いたら早めに診療を受けてください。
高齢になったら気をつけたい病気
症状
- 高齢なのに、水をたくさん飲み、食欲旺盛
- 食べているのに痩せてしまった
- 口臭がひどくなった
シニアのねこちゃんは、ホルモンバランス異常を原因とする病気や歯周病などのリスクが高くなります。こうした病気は、普段の生活でちょっとしたことに気をつけてあげたり、定期的な検査を受けたりすることで、早期に発見し、症状が軽いうちに進行を止めることができる可能性が高いので、10歳以上になったら半年に一度検査を受けると安心です。
甲状腺機能亢進症
これは甲状腺ホルモンの分泌異常で起こる病気で、10歳以上の猫の10%がかかっていると言われています。食欲が旺盛なのに痩せていく、高齢なのに異様に元気で活発に行動するなどの症状が見られます。高齢で元気なのはいいことにように思えますが、放置しておくと心臓に負担がかかって、死に至ることもある怖い病気です。
体重を定期的に測り、気になることがあったら早めに診察を受けることで、甲状腺機能亢進症の症状が軽いうちに発見、治療すれば進行を抑えることができます。
歯周病
ねこちゃんの口臭が気になったり、フードを食べにくそうにしていたりしたら、歯周病の可能性があります。歯周病は進行すると歯が抜けてしまいますし、抜ける前は食べるたびにかなりの痛みがある場合もあります。食事は日々の大きな楽しみですし、フードが食べにくくなって食事量が減れば栄養面での心配もあります。
さらに、歯周病菌は抵抗力を低下させること、心臓や肝臓などさまざまな内臓の疾患に関係していることがわかってきています。口臭が気になったら、歯石除去の治療を受けることで歯周病の進行を止めることができます。あわせて、飼い主さまによる歯みがきケアなども有効です。当院ではねこちゃんの歯みがきの方法や道具など、口内ケアについてのご相談も受けています。